「学問のすすめ」④

 

 五感について

  はじめに

 五感とは、ご存知のように動物に備わっている、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の異なる五つの感覚の総称です。この地球上に生命体として誕生したわたしたちの祖先は、生存していくための手段として工夫を重ねてこれらを獲得し、発達させてきました。そして、夥しい種類の生きものたちが、その方法を誤り、あるいは獲得できずに絶滅していきました。私自身、私たち人間こそが生きもの史上最強のセンサーを勝ち取り、それらを発達させ、張り巡らせて、絶滅の恐れに立ち向かっているような尊大さを感じてしまうこともありますが、それは全くの錯覚であり、まるで異質のセンサーを模索して、必ず訪れる絶滅の危機に立ち向かおうとしている(ひょっとしたら、すでに獲得して立ち向かっている)新種がいるのかもしれません。

 さて、今のわたしたちの日常生活を営む社会は、従来獲得し発達させてきたものとは完全に遊離し、変質しまっています。この五感をいつもバランスよい状態に保っておくことが大切なのです。

  1.聴覚について

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は今の時代、五感の中で一番軽視されているのが嗅覚ではないかと思います。

そうなってしまった要因の一つに、今の世界を席巻してしまっている歪んだ文化があげられます。今の時代はメディアの時代といってもよいでしょう。伝達の手段は、文字の時代から音声の時代を経て、映像の時代になりました。そして、「知りたい欲求」を満たす手段は、ビジネス化し、その暴走は止まるところを知らず、今や私たち人類は、世界のとある片隅にいる誰かの他愛のない「つぶやき」さえ、それを聴こうとすれば、世界中の誰もが聴くことのできる手段をも獲得してしまいました。いったいこれは何を意味しているのでしょうか?

 

 この問題については後程語ることとして、まず嗅覚の話を片付けておきしましょう。この情報化の暴走に取り残されてきたのが、「におい」の文化です。今の「におい」の文化は「臭(にお)い」の文化といってもいいと思います。つまり、嫌な臭いばかりが強調される文化です。生きているものは必ず臭いを生じます。それはこの世に生を受けて活動しているという証であるといってもいい思います。あるものは、生きるために利用するような

私たち人間もその結果、それは、いかにすれば消臭するか、